陰キャ仕事術

陰キャコミュ障だけれど職場のエース。今まで培ってきた仕事術を不定期で公開します。

勉強ができて仕事ができない人に足りないもの

何度教えられても覚えられない。

ひとつの事例で学んでも、他のことに応用できない。

本を読んでもすぐに何を書いてあったか忘れてしまう。

 

職場でこんな悩みを時々耳にします。

そんな彼らは、しばしば仕事ができない烙印を押され、職場のお荷物扱いされることもあります。

でも、彼らは本当に能力がないのでしょうか。

私はどうしてもそう思えませんでした。

彼らを観察した結果、彼らにはたった一つのスキルが欠けていることが多いことが分かりました。

それは「概念化」と呼ばれるスキルです。

 

「概念化」とは、辞書的に言えば「物事の本質を捉えて再定義する」とでもいえばいいのでしょうか。

実用的には「自分なりの言葉で大雑把にまとめる」とでも考えればいいと思います。

 

「概念化」は誰でも持っている能力ですが、対象が複雑になればなるほど難しくなります。また、シチュエーションに応じて抽象度合いを変えることがポイントです。

例えば、唐突ですが、「餃子とニラ饅頭の共通点は?」と質問された場合を考えましょう。

どのように答えるでしょうか?

「豚ひき肉やニラなどを混ぜた具材を小麦粉でできた薄い皮で包んで焼く」

「ひき肉を主体とする具材を小麦粉でできた皮で包んで高温で調理する」

「具材を皮で包んだもの」

上記の回答例では、からにいくに従って抽象度合いが上がっていきます。

①は最小公倍数のようなくくりですが、焼き餃子しか対象にできないのが難点ですね。また、であれば肉まんも該当しますし、であればシュークリームだってメンバーになるかもしれません。

正解はありません。シチュエーションによって求められる抽象度合いが変わるので、色々なレベルで表現できるように練習するのがいいでしょう。

 

また、目的に応じて概念化の方向も変わります。

例えば「テレビとは何だろうか?」と聞かれ、3人が以下の回答をしたとします。

「テレビ局からの電波を受信してモニタに映し出す一連の機器」

「何かの信号を受け取って映し出すモニタ」

「視覚・聴覚を中心とした五感に働きかける媒体」

上記の解答例はすなわち、「競合はどこか?」に直結します。

 

20年前であればの答えで十分だったでしょう。

2023年現在、私の認識はです。モニタさえあれば、YoutubeNetflixAmazon Primeなど優秀なコンテンツが揃っているので、テレビを見ることがほぼ無くなりました。

テレビ局が12つ潰れたところでしばらく気づかないかもしれません。

そして今後はメタバースが発展するかもしれません。匂いのするテレビなども開発されており、どんどんテレビのライバルは増え続け、勝ち目のない戦いへと突入しています。

 

このように色々な場面で使える概念化スキルですが、私が思う最も使える場面は「覚える」「説明する」です。

何かを記憶するとき、最初から最後まで全てを覚えようとしていないでしょうか?

記憶力の良い人はそれでいいと思いますが、物覚えの悪い私にとっては「1割覚えて9割捨てる」くらいの感覚が一番効率良いと感じています。

自分の言ったことを1割しか聞いていないと分かったら怒るかもしれませんが、その1割さえ覚えられないのが人間です。

そして、覚えた1割は最も大事な1割です。

私は人の説明を聞くとき、「つまり・・・どういうことだってばよ」と心の中で問いかけています。

そして自分の中で腹落ちする「キーメッセージ」を見つけたら、相手の話は流しながら、それを中心に論理展開することに脳のリソースの大部分を割きます。

論理展開が完了したら、その内容と相手の説明の齟齬を探します。

見つからなければ自分の理解が合っていたということ、見つかればそれをベースにキーメッセージや論理を修正します。

今のところ、このやり方で不便を感じたことはありません。

また、周りを観察したところ、理解力が高い人はこの概念化スキルが高い気がします。

 

人に説明するときは、この理解する過程に従って説明してやればいいんです。

よく「小学生に分かるように説明しろ」とか言いますが、それはこの概念化スキルをフルに働かせた説明方法と言えます。

小学生は専門用語など分かりませんし、細かいことは分からないので、限りなくシンプルに説明する必要があります。

 

ここで大事なのは、正確性を度外視するということです。

8割合っていればいいくらいの感覚で、間違えを指摘されたらごめんなさいをすればいいんです。

それができないのは、学校教育の影響が大きいと思っています。

特に歴史。

何百年も昔の出来事が何年に起こったかなんて、極めてどうでもいいことだと思っています。

記憶力の測定くらいの意味はあったかもしれませんが、それよりも私のような社会が嫌いな子供を量産しているとするとそちらの方が問題ではないでしょうか。

また、学校ではそういった記憶力が大事でしたが、会社に入った途端に自分で考えることを求められます。

 

ちなみに、一連の説明が何かに似ていると感じた方もいらっしゃったかもしれません。

論理的思考です。

巷でいう論理的思考(ピラミッドストラクチャー)の一部としてこのスキルがあるのだと思います。

レベルの差こそあれ、既に論理的思考ができるという方は、あらためて学ぶ必要はないかもしれません。

しかし、大抵の人にとって論理的思考は難易度が高すぎます。

私自身、論理的思考法を書いた本の一部でも理解をするのに4年の歳月を費やしました。

遅すぎるって? 確かに私には才能も努力も不足していました。

ただ、そうだったとしても、論理的思考は難しすぎると思います。

脳みその構造そのものを組み替える必要があり、苦痛を伴います。

 

同じ高さまで階段を上るのであれば、段差は小さい方が上りやすいです。

段差が小さすぎて物足りないのであれば、1段飛ばしで進めばいい。

そんな感じで、人によってはスキルとも言えない取るに足らないものでも、我々凡人には重要なスキルだったりします。

覚えておいて損はないでしょう。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!